【昭和100年問題】今日は昭和99年9月9日。昭和100年問題はすぐそこ!未来予測と対策

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今日は昭和99年9月9日。

2025年、昭和100年が目前に迫っています。意外と知られていないかもしれませんが、実は「昭和100年問題」が懸念されている2025年には、私たちの生活に大きな影響が生じる可能性があります。医療、金融、行政システムなど、さまざまな分野で混乱が生じる可能性も。

今日は、昭和100年問題によって私たちの生活がどのように変わるのか、具体的な未来予測と、今からできる対策を紹介します。自分たちの生活を守るため、そして、より良い未来のために、今から「昭和100年問題」について一緒に考えていきましょう。

昭和100年問題とは?

昭和100年問題とは

「昭和100年問題」とは、昭和元年(1926年)から数えて100年目に到達する2025年、「年」の情報を昭和換算&2桁で処理している古いシステムが誤作動を起こすことへの懸念です。

まず、「100」は2桁までしか処理できないシステムでは、桁あふれし、3桁目の数字「1」は切り捨てられ「00」となります。

すると、昭和100年にあたる2025年に、昭和100年を昭和0年と誤って認識してしまう(「991231(昭和99年12月31日)」の次は、「000101(昭和00年1月1日)」となって数字が一巡してしまうので、これが誤作動の原因になる)のではないかということです。

平成以降も、アプリケーションソフトウェア内部で、内部的に昭和として扱う設計を維持しているシステムが官公庁や金融機関などでも存在していたため、影響範囲は大きいと言われています。

昭和の頃から西暦表示を採用している銀行もありますが、「官公庁や銀行は和暦を使いたがる」と有名です。みずほ銀行は2019年(令和元年)に通帳表記を西暦に改めました。

なお、平成期以降に開発されたシステムであっても、他の古いシステムとの互換性を維持するために年を昭和で表現する設計になっている場合があるので注意が必要です。

令和6年9月9日は昭和99年9月9日

令和6年9月9日は昭和99年9月9日です。

一部のシステムでは、アプリケーションソフトウェアの内部処理において、平成(1989年1月8日)以降も昭和が連続していることとして扱い、「昭和〇年」としてきました。

つまり、プログラム上で日付を「yymmdd」と記述してある際、令和6年9月9日を昭和換算した「990909」として処理しているのです。

なぜ平成以降も昭和として扱う必要があったのか?

さて。ここまで読んで、「そもそも、西暦ではなく和暦で処理するシステム設計にしたのか」「なぜ2桁で処理するシステム設計にしたのか?」と思った方もいらっしゃいますよね?

和暦だと改元のときに元号が変わりますし、2桁だといずれ桁が足りなくなることが分かっていたはずです。それなのに「なぜ西暦4桁で処理するシステムを構築」したのでしょう?

それは、まず、記憶装置の容量やディスプレイの大きさの都合、処理速度を上げるためなどの理由で、年号を下2桁で管理しているプログラムが沢山ありました。(今よりも高価だし、処理速度も遅かったので、1ビットをいかに節約できるかがIT技術者の腕の見せ所でした)

そして、官公庁や金融機関は和暦を好みます。というか、「元号法」(1979年に制定)により、日本の公式な暦として定めています。これにより、公式な文書や公的な手続きにおいて和暦が使用されています。

和暦では、元号が切り替わればリセットされて1年(元年)からまたカウントをスタートしますが、これをコンピューターに認識させるにはどうしたらいいのでしょうか?

結論からいうと、昭和から平成への移行は「昭和64年=平成元年」とコンピューターに認識させることで対処しました。

ちなみに、昭和から平成への改元は、昭和天皇崩御による改元だったため、新元号は即日発表・翌日施行されました。それに対して、平成から令和への改元の際は、生前退位による改元で新元号も事前発表だったため準備期間はあったものの、1ヵ月と短く、「平成31年=令和元年」として更に接ぎ木を重ねて対応したシステムもありました。

「新元号の発表日(2019年4月1日)まではダミーの元号を設定してテストしておき、公表後にダミーの元号部分を正式な新元号に入れ替えて対応すればいい」と思われていましたが、それでも不具合は起きました。

たとえば、2019年4月29日(平成31年4月29日)に一部の銀行の口座からの振込を行うと、振込予約日がゴールデンウィーク明けの営業日である2019年5月7日(令和元年5月7日)になるはずが、ATM画面や明細表には1989年の5月7日と表示される不具合が発生しました。(※1989年の5月7日は平成元年5月7日です)

また、令和2年を表す「2」と印字されるべきところ、平成32年を表す「32」と印字されるケースも発生しました。

過去の類似問題:2000年問題(Y2K)

日本では西暦を2桁しか持っていないシステムが多く、1999年から2000年に切り替わるタイミングで、「99」から「00」になり、システム障害が起きる・・・というのが2000年問題です。

これでは日付の処理が正常に行えないため、システムを改修しないと、「日付のデータが正しくない」「間違った日付で印字される」「データの順番が狂う」などの問題が起こります。

このときに素直にデータの桁を拡張して4桁にすれば良かったものの、工数削減のために2桁を維持したシステムがありました。「年数が基準年以上ならば1900年代」というロジックを追加することで2桁を維持したのです。

たとえば、基準を50年とした場合、50年以上は1900を足して20世紀として扱い、50年未満は2000を足して21世紀として扱うということです。「50」だったら1950年として扱う、「49」だったら2049年として扱うという意味です。「いずれ改修はするけど今はしない」という先送りにした対策方法です。

昭和100年問題でも2000年問題で心配されたことと同じことが起こります。

  • 2000年問題は、西暦2000年で下2桁が「00」に戻る
  • 昭和100年問題は、西暦2025年で下2桁が「00」または「01」に戻る

と比べて、2000年問題の時点で25年後に再び”下2桁の一巡”が来ることも予測できていたはずなのに、2桁を維持してしまったことが悔やまれます。

2000年問題のときは、工場の操業が停止したり、商品の配送などに支障が出ることも懸念され、それに備えて消費需要の増大も起こりました。「食料品の備蓄をする」「車のガソリンを満タンにする」などのアドバイスを受けて、それぞれの一般消費者が少しずつ購入量を増やした結果、1999年12月には莫大な消費需要が発生しました。

昭和100年問題と同時に発生する問題「2025年の崖」

2025年には、団塊の世代がすべて75歳以上となり、後期高齢者の人口が急増する境目の年です。介護や医療の業界で人手不足が問題視されていますが、IT業界が無関係とは言えない問題です。

IT業界でも「既存システムの老朽化」「IT人材不足問題の深刻化」などの問題が組み合わさり、もっと深刻な事態になる可能性も否定はできません。

ちなみにIT業界の人材不足は「2007年問題」で有名です。

2007年問題は、団塊世代の定年退職に関係する問題。1947年生まれが60歳に達して定年退職するのが2007年で、経験豊富な技術者がゴッソリ減ったことで、古いレガシーシステムを保守管理できるスキルを持った人の確保が難しくなってしまったのです。

仕様書やソースコードが行方不明だったり、たとえ残っていても、改修につぐ改修で解読不能だったり。当時の事情を知っている人に直接確認しようにも、定年を迎えて連絡を取れないなどの事情があります。

昭和時代に作られたシステムを、当時の技術者の協力を得るのが難しい中で、限られた人員で改修しなければならない・・・「昭和100年問題」はこういった問題とも深く絡み合っているのです。

昭和100年問題で想定される課題

情報技術(IT)分野において「昭和100年問題」で想定される課題には、いくつかの技術的、運用的な問題があります。この問題は、年号を基にしたシステムが昭和100年(2025年)を正しく扱えない場合に発生する可能性があり、具体的には以下のようなリスクが挙げられます。

  1. 日付の誤認識
  2. プログラムのエラーやシステム停止
  3. データの不整合
  4. 業務プロセスの混乱
  5. カスタムソフトウェアの改修コスト
  6. 法的・規制上の影響
  7. ユーザー体験の悪化

1.日付の誤認識

システムやデータベースで「昭和100年」を「昭和1年」や「昭和0年」などと誤認識する可能性があります。特に、日付の形式が「昭和YY年」として保存されている場合、昭和99年の次を「昭和00年」として扱ってしまう場合があります。この誤認識により、日付の計算やソート、検索などで正確な結果を得られなくなる恐れがあります。

2.プログラムのエラーやシステム停止

多くのシステムでは、年号を整数型の2桁またはそれ以下の形式で扱っている場合があります。昭和100年を「100」として処理する際に、システムが2桁の年号しか認識できない場合、プログラムのバグやクラッシュ、システム全体の停止などの重大な障害が発生する可能性があります。

3.データの不整合

データベースやファイルで昭和の年号を使用している場合、「昭和100年」のデータが過去の年(例えば「昭和1年」=1926年)と混同されることで、データの整合性が失われる可能性があります。これにより、報告書や分析結果が誤ったものになるなどの影響が考えられます。

4.業務プロセスの混乱

企業や公的機関の内部で使用されるシステムにおいて日付の処理に問題が生じると、給与計算、年金支給、契約管理、資産管理などの重要な業務プロセスが正常に機能しなくなる可能性があります。特に金融機関や保険会社などでは、日付の誤りが大きなリスクを引き起こすことがあります。

5.カスタムソフトウェアの改修コスト

昭和の年号を使用しているシステムやソフトウェアを修正するためには、多くのリソースとコストが必要です。特に、古いシステムや独自開発されたシステムの場合、昭和100年問題に対応するための改修が困難であり、システムの全面的な再設計や置き換えが必要になる可能性があります。

6.法的・規制上の影響

法的書類や記録において、昭和年号が使用される場合があります。昭和100年問題によってこれらの書類が誤った日付情報を含むと、法的に無効となったり、誤解を招いたりするリスクがあります。例えば、不動産登記や公証などの公式な書類で日付が重要な場合、重大な問題が発生する可能性があります。

7.ユーザー体験の悪化

ユーザーインターフェースやレポート生成の際に誤った日付が表示されると、ユーザーの混乱を招く可能性があります。特に、一般消費者向けのサービスやウェブアプリケーションでこのような問題が発生すると、信頼性の低下につながることがあります。

昭和100年へのカウントダウンもいよいよ終盤

昭和100年まであとわずか

近未来の課題は山積していますが、すぐそこに迫っているのが「昭和100年問題」です。

昭和100年問題の対策

昭和100年問題だけでなく、2桁の年号表現による問題はたびたび起きています。

この問題を防ぐためには、システムの改修や年号に依存しない形での日付管理が必要です。また、年号ベースのデータ管理が行われている場合は、西暦との対応付けを正確に行う必要があります。

「昭和100年問題」が引き起こす影響は、主にシステムのエラーやデータの不整合などの技術的な問題に限られると考えられますが、ビジネスや行政の運営に支障をきたす可能性もあります。そのため、該当するシステムを運用している組織は、早めの対策が求められています。

まだある〇〇年問題

2036年問題

コンピューターの時刻を同期するために用いられている「NTP(Network Time Protocol)」がカウントできる時刻の限界を迎える問題です。

これは、1900年1月1日午前0時0分0秒(UTC)からの経過秒数を32ビット値で計算しているため、およそ「2の32乗秒」までしか計算できません。2036年2月7日 6時28分15秒(UTC)

取り扱えるデータ量を増やす改修(32bit→64bit)や時刻起算点の変更などの対応が必要です。

2038年問題

UNIX時間が数えられる時刻の限界を迎える問題です。日付表現のために使われているUNIX時間が32ビットの上限を超えると、コンピュータが誤動作する可能性があるとされています。

これは、1970年1月1日0時0分0秒 (UTC)からの経過秒数を符号付き32bit変数であらわしていることが原因(符号付きなので2の31乗までしか計算できない)で、2038年1月19日3時14分7秒(UTC)を過ぎると問題が発生します。

2036年問題と同様に、64ビットへの改修や時刻起算点の変更による対応が求められます。

西暦10000年問題

西暦10000年にコンピューターが扱う年数の桁数が4桁→5桁になることでシステムに不具合が生じる問題です。年数を基準にしたシステムはいずれ限界を迎えるという問題を示唆しています。

悪いことだけではない〇〇年問題

〇〇年問題は、技術者にとってはスキルを向上させるのに絶好の機会でもあります。昭和100年問題も例外ではありません。

突然の元号変更とは違って、準備期間もある程度確保できます。

難しい課題に直面することで、システムエンジニアやプログラマーなどの技術者たちの対応力や技術力が磨かれ、それが結果として業界全体の技術レベルを引き上げ、日本国内のIT産業の成長にもつながります。

参考にしたコンテンツ

まとめ

今回は昭和100年問題について解説しました。

昭和100年問題の影響

平成になってからも、令和になってからも、見えない内部処理は「昭和二桁年」のまま行っていたシステムが、昭和100年を迎えてエラーや障害を起こす可能性があります。そして、2000年問題で心配されたことと同じことが起こりえます。

ちなみに、2000年問題のときは、工場の操業が停止したり、商品の配送などに支障が出ることも懸念され、それに備えて消費需要の増大も起こりました。「食料品の備蓄をする」「車のガソリンを満タンにする」などのアドバイスを受けて、それぞれの一般消費者が少しずつ購入量を増やした結果、1999年12月には莫大な消費需要が発生しました。今回もそれを見越して早めに動く必要があります。

ピンチはチャンス

2036年や2038年が、NTP開発当時のプログラマーにとっては遠い未来のことだった(こんなに長く使われるとはきっと想定してなかった)のだと思います。

そして、2000年問題や改元に伴うシステム改修で面倒な問題は先送りにした結果、今回の昭和100年問題につながったと思われます。

この問題を防ぐためには、システムの改修や年号に依存しない形での日付管理が必要です。

「昭和100年問題」が引き起こす影響は、ビジネスや行政の運営に支障をきたす可能性もあります。そのため、該当するシステムを運用している組織は、早めの対策が求められています。

そして、今、短期的な視点だけでなく、長期的な視点を持つ必要があると思います。「目先の利益や効率だけを最重視する」今までのやり方から、「将来メンテナンスしやすく作る」やり方にシフトしていくことも大事だと思います。問題の根本解決を先送りしたことを個人の責任や現場に負わせるのではなく、経営陣がきちんと予算を割いて長期的な視点で見ることが大切です。

〇〇年問題は、技術者にとってはスキルを向上させるのに絶好の機会でもあります。難しい課題に直面することで、システムエンジニアやプログラマーなどの技術者たちの対応力や技術力が磨かれ、それが結果として業界全体の技術レベルを引き上げ、日本国内のIT産業の成長にもつながります。

さまざまな問題が山積する昭和100年ですが、明るい未来に向けて準備を進めていきましょう!

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